私は悪くない その1(ブラック企業問題)

今野晴貴『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』文春文庫、2012年

5/25、今野晴貴さんの著書『ブラック企業』を用いながら、ブラック企業問題の一部をご紹介しました。

このなかで、今野さんは「鬱病になる前に五つの思考・行動を」のなかに「自分が悪いと思わない」ことを一番に述べていらっしゃいます。
今日は「私は悪くない」を冷静にみるとどうなるか、をお話しして、明日改めて具体的な対処の仕方についてお話しします。

本当は、私のもとにカウンセリングに来られた方の事例、あるいは私が実際過去勤めていた職場での事例でご説明したいところですが、守秘義務がありますので、今野さんの著書に出てくる事例を使ってご説明します。

この著書のなかでは、入社式で人事部執行役員がつぎのように述べたことが記されています。入社式の様子を録音しているわけでもないでしょうから、この通りではないでしょう。それでも、社員を恐怖で支配するために、以下のようなことを毎日いい続けているのだろうな、ということは予想しています。

「営利団体である企業にとって赤字は悪だ。利益をもたらせないヤツが給料をもらうということは悪以外の何物でもない。だから、お前たちは先輩社員が稼いできた利益を横取りしているクズなのだ」。

よくよく冷静に考えて欲しいんです。不合理だと私は思います。
たしかに「営利団体である企業にとって赤字は悪」かもしれません。そして、会社設立のために借金をしないで設立した企業、自費だけで設立できた企業はどのくらいあるのでしょうか。必ず何かしらの形で借金をしたり赤字を出しながらも再建しているはずです。
「利益をもたせないヤツが給料をもらうということは悪以外の何物でもない」。もし本当にそうだとしたら、いっている本人が会社に入社したときも利益を出せなかったはずです。これは以下でも同様です「お前たちは先輩社員が稼いできた利益を横取りする・・」先輩社員もクズになる、ということになりますね。

仮に私がこの人事部執行役員に対して上記のように、「あなたの考えは不合理」だと述べたとします。まず間違えなく、私に対して難癖をつけてくるでしょう。
「会社にとって必要な設備投資と無駄遣いの人件費の質は違う、そんなこともわからないお前こそ本当にクズだ、部屋に帰って死んでしまえ」
「理屈ばかりのヤツは使えない、人間になるためにはハートが必要だ、ハートを感じるためなら痛い思いをする必要がある、一発殴ってやるからありがたいと思え」・・・・

私もこんなことを書いていて、とても嫌な気分です。
ご理解いただきたいのは、相手に恐怖感を植え付けて支配しようとする人とまともに付き合おう、としても無駄だ、ということです。どれだけ仕事を一生懸命がんばったとしても、認められることはありません。
その一方で、「アメとムチ」という諺があるとおり、優しい一面をみせて操作しようとします。今野さんの著書には休みの日にキャッチボールにつきあってくれた、という文章があります。その他私が知る限りでは昼ごはんをごちそうする、送別会を盛大にやる、出張や旅行のお土産は大盤振る舞いにする、などの方法があります。

コミュニケーションで大切なことは、相手が発言していることの「意味」に注目することです。私は「意味」ということばを使いますが、人によっては「目的」「理由」、あるいは「なんでこんなことをいっているのだろう」という表現がわかりやすいかもしれません。上記の場合はその「意味」が対等に心地よく人間関係を結ぶのではなく、相手を服従させることです。
ここまでくると、非常に危険ですから、会社にいくときは、つねにICレコーダーをもって記録をとることをお勧めします。

「私は悪くない!」まずは理屈をご理解いただけたでしょうか。
明日は気持ちの面で「私は悪くない!」のお話をします。

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