今日もオペラの登場人物を例に人格適応論でいう適応タイプについてご説明します。

今日は「反応型」です。明るく元気でエネルギッシュでクリエイティブ。何をやるにしてもいつも一生懸命、「がんばっています」という印象。

リヒャルト・シュトラウスの超人気オペラ「ばらの騎士」に登場するオックス男爵がその典型例です。

第一幕から。
オックス男爵は、大金持ちで新興貴族ファニナルの令嬢ゾフィーと結婚することになります。その結婚に関する相談で、元帥夫人のもとに早朝訪れます。
ここで、「反応型」のポイントが見られます。自由が好き、枠にはまるのが嫌いなのです。
「身分の高い人は朝早くてもいいんだよ」
「あなたのところは気楽でいい。うるさい礼儀作法もいらないし、スペイン風のわざとらしさもない」

そして、元帥夫人を前にして、一生懸命がんばって女性を追いかける様子を楽しげに熱弁をふるいます。
(「思考型」の元帥夫人は、ときどき、「あなたもなかなか熱心ね」「まるでそれがご専門みたい」とあいずちをいれるだけで、とにかくオックス男爵はしゃべり続けます)
「あなたがお気の毒でならないのは受身の経験しかもっておられないことです。反対の攻める側のことはまったくご存じない」
「5月が色ごとにいいことは子どもでも知っていますよ。でも、私にいわせれば6月、7月、8月ですよ、夜がいい」
「たとえば、そっと近づいて欲しいという女性もいる。風が刈ったばかりの干し草に忍び寄るように。それから、後ろから山猫のように近づいて乳しぼりのイスに押しつけるとよろけて倒れる、まわりの干し草がそのままベッドというわけだ」
「狭くて人目につかないところでもうまくやれるし、小部屋でお行儀よくやることもできる。千の姿をもつことができたら、千の娘とやれる」
「どんなに若くてもいい、無愛想でもいい、身分が低くても下品でもかまわない、どんな逢い引も恥とは思わない、かわいい娘がいればものにせずにはいられない」・・・

こんな話が延々と続くのです。楽しいことをエネルギッシュにやっていくことが「反応型」の方の特色でもあります。

こうした「反応型」の特色は第2幕のラストシーンでもあらわれます。
第2幕。オックス男爵はゾフィーと会います。オックス男爵との結婚を楽しみしたゾフィーは、オックス男爵の下品さを嫌って結婚を嫌がります。そこに居合わせた若い貴族、オクタヴィアンと瞬時に恋仲になり、オクタヴィアンはゾフィーを守ろうとオックス男爵と決闘します(オクタヴィアンは「信念型」、この決闘の場面でも正義のヒーロー「信念型」とお調子者の「反応型」の特色がよくあらわれています)。決闘に敗れたオックス男爵はケガをして一瞬落ち込みますが、「マリアンデル」という女性(実はオクタヴィアン)からのラブレターでまた楽しくなります。
「わしはレルヒェナウ家の幸せものだ!」といいながら、オックス男爵がウィンナー・ワルツを踊る場面は、このオペラの名場面の一つです。

職場では、とくにかくエネルギッシュにがんばりますから、営業では仕事はどんどんとってくる、事務では明るく楽しい雰囲気を演出して人気者です。
もちろん、問題もあります。営業職だとお客さんと仲良くなって仕事はたくさんとってくるにしても、後の事務処理が苦手でミスが多かったり、提出期限を守らなかったり、と・・・。

どういうことでしょうか。
「反応型」はかつて「受動攻撃型」と呼ばれていました。この「受動攻撃」の意味がわかるとわかりやすいでしょう。
人格適応タイプは、幼少期、養育者(とくに両親)の養育的態度をどう受け取るかによって決まってきます。たとえば、「想像型」の方の場合養育者のあてにならない姿をみて自分の欲求をあきらめてしまう、「信念型」の場合は養育者の一貫性のない態度を受け取って用心深くなる、というわけです。「反応型」の場合は、管理的で支配的な養育者の態度を受け取るとなりやすいのです。
親は管理的で支配的、ということは、非常に厳しい、怖い親です。となると、直接養育者に自分の主張をしても受け取ってもらえない、とすれば、間接的に養育者を攻撃するわけです。これが「受動攻撃」です。

「反応型」の方の服装は、原色が多く、にぎやかな印象です。はたからみると、「何、その辺な色の格好は?」とでもいいたくなるような服装です。つまり、服装からして、間接的に養育者に対して抵抗するような(受動攻撃するような)服装なのです。
服装は趣味の問題として・・・これが仕事にでてくるとどうなるでしょうか。
引き延ばし・・・不満を直接いわない分、やる仕事を引き延ばしにする傾向があります。これも「受動攻撃」の一種です。
逆にいうと、引き延ばしをやめてやることをやるために、莫大なエネルギーを使って仕事をしているわけです。
あとは、指示・管理を非常に嫌がりますので職場のルールを守らない、などという問題、遅刻やドタキャン、ことばでいえば「でも、だって、だから・・・」と受動攻撃してきます。
これも逆にいうと、好きな仕事は一生懸命がんばることにつながります。
この「受動攻撃」は長所にすると、「あらさがし」が得意、ということにもなりますので、何かミスがないかどうか最後にチェックしてもらうと、細かいところまでミスを発見してくれたりする、ありがたい適応タイプの方々でもあります。

私は「信念型」です。「反応型」の方とはプライベートでおつきあいしたり、カウンセリングをするのは楽ですが、一緒に仕事をする、となると難しいです。いまはこう思うようにしています。難しくたっていい、相手を理解することから始めよう。実は、そう思ったときから、すでに他者理解が始まっているのですね。