人格適応論 3つの扉

人格適応論コミュニケーションの3つのドア

昨日は「ワルキューレ」に出てくる人格適応論でいう「行動型」のヴォータンについてご紹介しました。

今日は、再びヴォータンを例にして、人が変化して本来もっている愛情を取り戻す様子についてご説明します。例を「行動型」のヴォータンにしますが、同様のことは他の適応タイプでもいえます。

まず、人格適応論いう「3つの扉」について、再度まとめます。

人格適応論でいう3つの扉(コミュニケーション・ドア)の表

 

まず、「行動型」の特徴から復習します。「行動型」は、会社でいうと社長になりやすいタイプです。人を操作することが上手で、目の前にある欲しいものをつぎからつぎへと手に入れるが、本当に欲しいもの、愛情は手に入れない、という特色があります。ヴォータンは、愛を失った後権力を手に入れるためにヴァルハラ城を巨人兄弟に頼んで建造してもらいます。その代償を払うために、妻フリッカの妹フライアを渡すことにしますが、取り戻すためにアルベリヒから奪った指輪と黄金を使います。つぎからつぎへと、欲しいものを手に入れるために計略を実行に移す様子がわかると思います。

そして、魅力的で、素早く女性にも手を出します。人間との間に双子の兄・妹を産ませ(ヴェルズンク)、智恵の神エルダとの間にも9人姉妹を産ませます。

ヴォータンはその子どもたちさえも、操って利用しようとします。権力を維持するには相当のエネルギーが必要です。ヴォータンは人間の世界で戦争をしかけて戦死した英雄をヴァルハラ城に集めて最強軍をつくります。そこで、戦死した英雄を集める役割を果たすエルダとの間に産ませた女戦死が「ワルキューレ」でその長女が「信念型」のブリュンヒルデです。そして、ヴォータンはヴァルハラ城の対価として払った指輪に手をつけることができず、自分の権力を維持するには、指輪を神の制約に縛られない自由な人間に取り戻してもらおうと期待するわけです。それがヴェルズンクの兄、ジークムントなわけです。

そんなヴォータン、妻に詰め寄られて痛いところをつかれ、ジークムントが戦死するように仕向けることを決意するわけです。

さて、そんなヴォータンがどのようにして変わっていくのか、みていきましょう。

もう一度確認します。「行動型」の①入口のドアは「行動」、②深まるドアは「感情」、③地雷のドアは「思考」でした。

ヴォータンはあまり深く「思考」せずに目先の利益を追及するために「行動」することは、上記の例でご理解いただけるでしょう。①入口のドアはその適応タイプで一番入りやすいコミュニケーションの扉、②深まるドアはその適応タイプで人間関係を深めると同時に生き方そのものを変えるのに役立つコミュニケーションの扉、③地雷のドアはその適応タイプが一番苦手とするコミュニケーションの扉で触れると人間関係が崩れるものの人生を変える上で一番変えていきたいコミュニケーションの扉です。

というわけで、ヴォータンに対して、「目先の利益を追及するために動くのではなく、もっと自分の人生について深く真剣に考えよう」というのはNGです。効果がありません。それでは、どうするのか。「信念型」ブリュンヒルデでの対応をみましょう。

①入口のドア

「行動型」の入口は行動ですから、一緒に行動します。残念ながら、「ワルキューレ」では、ヴォータンとブリュンヒルデがともに戦場で行動する様子は描かれていませんが、ヴォータンが過去を振り返ることばでその様子がわかります。「私はお前と別れなければならない。・・・お前は私と並んで馬を駆ることもできず、食卓で酒を私に酌んでもくれなくなる」。ブリュンヒルデとヴォータンが活き活きと戦場で馬を駆って行動をともにし、食卓でもともに酒を交えて行動ををともにしたことがわかります。

②深まるドア

ここが重要です。適応タイプの人生を変えるには①入口のドアから入り、②深まるドアで深めることで③地雷のドアを変えていくわけです。「行動型」の②深まるドアは「感情」です。ブリュンヒルデは、とにかくヴォータンの気持ちを聴いていきます。

「青春の愛の悦びが私のなかから消えたとき、私は権力を欲した。激しい欲望にかられて私は世界を獲得した。それと知らずに、多くの不実も行った。災いの潜んでいる契約に結ばれた。・・・(ここでヴォータンはつぎからつぎへと不安に感じていることを語り続けます)」

この後、ヴォータンはジークムントが戦死するように仕掛けることをブリュンヒルデに命じます。結果ヴォータンが介入してジークムントは戦死しますが、ブリュンヒルデはジークムントを助ける行動に出たわけです。

自分の命令に背いたブリュンヒルデに激怒するヴォータン、どれだけヴォータンがブリュンヒルデに脅しをかけようと、ブリュンヒルデはヴォータンの気持ちを聴いていきます。

「この愛を私の心に与えた人、ヴェルズンクと私を結ばせたこの人、この人に忠実でありたいと私はあなたの命を拒んだのです。」(ブリュンヒルデ)

「私がやりたいと欲したこと(息子のジークムントに味方すること)をお前はやった。しかし矛盾する事態が私にそれをさせまいとした。だが、燃えるような痛みが私の心を打ち砕き、避けたいと思う苦しみが私の憤怒を湧かせるとき、そう簡単に喜びが私の心に起こると思うのか?」(ヴォータン)

さらにブリュンヒルデは続けます。

「確かに私は愚かな娘です。・・・あなたの心をよく理解せずとも、ただ私自身の忠告が、ただ一つのことを告げたのです。あなたが愛したものを愛せよ、と」(ブリュンヒルデ)

③地雷のドア

すると、だんだんとヴォータンも③地雷のドアである思考をかえて、ブリュンヒルデに愛情を示します。

「さらば、勇ましき輝かしきわが子よ!・・・輝く2つの眼(まなこ)よ、・・・私より幸せな男にその星は輝くがよい。不幸な神は、この瞳の星も別れを告げる」(ヴォータン)

3幕のラストシーン、「別れの場面」は感動的です。オペラ史上最高の名場面の一つといえるでしょう。

ブリュンヒルデにくちづけをして、ブリュンヒルデから神性をとり、深い眠りに閉じ込めます。その周りを炎で囲い、その炎を乗り越える勇気をもつ英雄だけがブリュンヒルデにプロポーズできる、そんな幸せを願ってヴォータンはブリュンヒルデと別れます。

「行動型」の人は目先の利益を追及するものの、一番欲しい愛情を手に入れないのが特色です。それが①入口のドア・行動から入って②深まるドア・感情触れていくと、③地雷のドアである思考も変わって、心の深いところでもっている愛情を示すようになるわけです。

ちょっと3つの扉は難しいかもしれません。また機会があれば、別の話や適応タイプでご紹介したいと思います。

 

 

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