頭のよさと記憶力 その2

齋藤孝「頭がいい」とは文脈力である

おとといの続きです。本のタイトルの通り、齋藤さんは「頭がいい」とは、文脈力である、といいっています。私も同感です。何か知識を得たとき、覚えたことよりその意味を理解することの方が重要です。人の話が記憶に残らないのは、記憶力の問題、というより、人とのコミュニケーションで脈略をつけて会話をしているかどうかが重要です。

コミュニケーションの問題については、また別の機会に私なりのことばで述べます。

今日は、知識に焦点を当てます。

私は、どうも周りの人から「頭がよい」「記憶力がよい」とみられがちです。ましてや、「昔は世界史の教師でした」というと、「よく覚えられますね」「頭がいいですね」といわれます。実は、私も高校のときもよくわかりませんでしたし、予備校で世界史を教え始めたときもほとんど知識はありませんでした。記憶に残るようになったのは、自分なりに世界史の全体像をつかんで、文脈をもって語ることができるようになってからでした。

たとえば・・・1900年前後の世界の状況、とくに東アジアとアフリカで起こっている問題を「文脈力」を使うと丸暗記に頼らなくても覚えられるよういなります。

19世紀後半は、資本主義社会を最初につくりあげたイギリスとフランスが植民地争いをしていました。1898年、アフリカのスーダンでイギリス・フランスがアフリカをめぐる対立で頂点に達し、1899年南アフリカを押さえるためにイギリスは同地のオランダ系の人々と戦争をします。この南アフリカの戦争でイギリスは勝利するものの、非常に苦しい戦いで、同盟国が必要になります。パートナーとして選んだ国は日本でした。1902年のことです。当時イギリスは中国での利権を深め、ロシアが中国に勢力を拡大することを恐れていました。ロシアを応援しているのはフランスでした。中国でもイギリスとフランスの危機は深まるわけです。日本もまた新しく資本主義の仲間入りをして中国や朝鮮半島をめぐって対立が深まっていました。そこで、日本はイギリスの援助のもと、ロシアとの戦争に踏み切ります。この日本とロシアの戦争は日本をイギリスが、ロシアをフランスが援助しますので、イギリスとフランスはアフリカ問題で決着をはかります。これに文句をつけてきたのが、日本と同様に資本主義の仲間入りをして植民地を探していたドイツです。1914~18年第一次世界大戦は、最初に資本主義社会をつくったイギリス・フランスと、後になって資本主義社会をつくったドイツとの戦争です。

と、こんな具合です。ここに出てくる専門用語、ファショダ事件、ブール戦争、日英同盟、シベリア鉄道、露仏同盟、日露戦争、三国干渉、英仏協商、タンジール事件は使わなくても自分なりのことばで説明ができるわけです。

この「文脈」の組み立て方は人それぞれです。自分なりの文脈を組み立てることができれば、ことばは自然と乗りますので「記憶」にも残るわけです。

仕事でも同じことです。つねにいましている仕事を茫然とやるのではなく、「意味」「文脈」を意識することが大切になります。

 

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