基準率と代表性3 仕事での応用を考える

市川伸一『考えることの科学 推論の認知心理学への招待』

今日は、「基準率」と「代表性」について、仕事で実際どう使うかについて考えます。とても耳が痛い話かもしれません。それでも、少しでもお読みいただいている方のお役に立てばうれしいな、と思い、書かせていただきます。

まず簡単に復習をしましょう。

「基準率」は全体を見渡したときの比率のことをいいます。上記の例では大学を出ていない人と博士号をもっている人の割合、学生の専攻を考えると経営学と中国文学とでは経営学専攻の割合のことです。「代表性」は、典型的な例とどの程度似ているか、ということです。

ここで大事な点では、確率論からいえば、最初に焦点を当てるのは「代表性」ではなく「基準率」である、ということです。この「基準率」を無視して「代表性」にばかり目を向けてしまうとうまくいかないことが多いわけです。

今日はカーネマンの本ではなく、市川伸一『考えることの科学』(中公新書、1997年)にのっているエピソードを使います。この本によると、医学部の学生は「ある病気に典型的な症状だからといって、その病気だと速断してはいけない」ということを叩きこまれるそうです。その前に、「典型的症状とはいえないが、よくある病気」である可能性をチェックしないと誤診につながる、ということです。

「典型的な症状」が「代表性」、「よくある病気」が「基準率」になります。お医者さんのトレーニングでも、とても大切なのですね。

私の例で申しますと、これ、カウンセリングでもとても大切なのです。

たとえば、「仕事で残業ばかりしています。上司から、いつも仕事の効率化を図るようにいわれても、なかなかできないんです。どうしたら、効率よく仕事ができるようになるでしょうか」。というご相談をいただいたとします。ここでいう「代表性」は「仕事が効率よくできない」ということですね。これを「基準率」でみるとどうなるのか、というと、「人に嫌といえない、人から嫌われたくない」「つねに働いていないと自分の存在価値がない気がする」「ついつい人に気を遣う、人に合わせて物事を考えたり行動してしまう」になります。

当然カウンセリングでは、いきなり「基準率」に焦点を当てようとすればクライエントさんもびっくりしますので、様子をみながら進めます。そして、絶えず「基準率」を念頭に置きます。

私もかつてとても業務量が多い職場にいました。私の場合、嫌われようがなにしようが、あまり残業せずに帰るどころか、「カエローズ(帰ろうず)」なるチームまで結成し、仕事はやりたい人にやってもらう、なんていう図々しい態度でいた時期もあります。残業が多いかどうかは、業務量と必ず一致するわけではないのです。

そんなわけで・・・。結構仕事上大切なのではないでしょうか。SEや営業職・販売職などお客様と接する機会が多い方、振り返るといかがでしょうか。お客様のニーズがくみ取れない、何かお客様と自分の考えにズレがある・・・もしかしたらお客様の声の「代表性」に注目して「基準率」を見落としているのかもしれません。

ぜひ参考にしていただき、業績がアップしたら、私もうれしく思います。

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