おはようございます。

あなたは、「常識」にどのくらい苦しんできたでしょうか。「よい大学、よい会社」といわれ受験戦争に苦しみ、卒業後せっかく就職できた、と思っても先行き不透明な時代になりました。あるいは、「人は誰かの役に立つもの」、「人前で泣いてはいけない」、「○○新聞を読むことくらい社会人としての常識だ」・・・人とあいさつをするなど、生きる上で心地よくなる「常識」なら問題ないでしょうが、生きる上で邪魔になる常識もあるでしょう。そして、厳しいことを申し上げます。

「常識」を何も疑わずに信じることは、自分で考えることを放棄することにもなります自分で考えることをやめれば、自信をもつことも難しくなるでしょうたとえ人から何といわれようが、自分の考えや意見をもつことが生きる上でとても大切です。

さて、前置きが長くなりました。「常識」を英語で「コモン・センス」common senseといいます。「共通した感覚」、という意味です。そして、『コモン・センス』という本を1776年に出版した人がいます。トマス・ペインという人です。1776年にアメリカはイギリスからの独立を宣言しまし、『コモン・センス』はアメリカの独立運動に大きな影響を与えた書物です。私の手元にある大学受験でおなじみの山川出版社の世界史の教科書では、こんな風に「コモン・センス」が記されています。

「1776年初め、トマス=ペイン・・・があらわした『コモン・センス』(『常識』)は、独立の必要と共和政の長所を力説し、独立運動をもりあげた」(1999年、206ページ)とあります。

トマス=ペインの「常識」が、「(アメリカのイギリスからの)独立の必要と共和政の長所」であると、山川世界史をはじめ多くの人がいったとします。

私はこれに対する自分の考えを以下に述べさせていただきます。

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私が『コモン・センス』を読んだのはもう20年くらい前だと思います。アメリカの独立の背景には経済的な要因がきわめて大きいことを実感した記憶があります。まず有名な文から引用します。

「アメリカはこれまでイギリスとの結合によって繁栄したのだから、将来の幸福のためにも同じような結合が必要であり、またそうするなら同じ結果が常にえられる、とある者が主張しているのを聞いたことがある。だがこの種の議論ほどばかげたものはない。それなら子供はミルクで育ったので決して肉を食べさせてならないと主張しても・・・よいだろう」(小松訳、岩波文庫、1976年、44ページ)。

さらに読み進めていくと、私が考えるペインの本音がみえてくる気がします。

「われわれが考えているのは貿易である。それに精を出せば、全ヨーロッパに対し平和や有効を確保できるだろう。アメリカを自由港にするのは全ヨーロッパにとって利益になるからだ。貿易は常にアメリカを守ってくれるだろう。・・・ヨーロッパはわれわれの貿易市場なので、どの国とも偏った関係を結ぶべきではない。ヨーロッパの紛争に巻き込まれないようにするのが、アメリカの真の利益だ。しかしイギリスに依存して、その政治の天秤のおもりに利用されているかぎりは、そうはいかないのだ」(48〜49ページ)。

ヨーロッパを貿易市場、つまり「ヨーロッパをお客様にして金儲けをしたい」という動機がみえています。さらにペインはのべます。

「わたしはうぬぼれやや党派心や怨恨に駆られて、分離独立を支持するようになったのではない。・・・分離独立することが大陸の真の利益である、それを考えない対策はすべて単なるごまかしであって、永続的な幸福をもたらうことはできない・・・」(55ページ)。

ペインははっきり述べています。党派心や怨恨に駆られて独立を支持するのではなく、アメリカが貿易でお金を儲けることが大事だから私はアメリカの独立を支持する、と。

山川の教科書で述べられているように、高校世界史で「常識」でいわれるように、政治的な動機より深い動機がある、というのが私の考えです。

いま、私は「常識」に対する考えを述べました。私は専門家ではありませんので、専門家からみれば拙い考えかもしれません。それでもよいのです。これが私の意見です。

たとえ批判されてもこれが私の考えである、ということを自分で認めることが自信につながります

明日は、この続きです。たぶん、ペインの考えだけでは常識を疑って自分の考えをもつことの大切さは伝わりにくいと思います。明日も歴史の話を使いますが、今日よりも深いお話ができると思います。明日もどうぞよろしくお願いいたします。