「なんでこの人は○○なんだろう?」・・・そんな疑問が仕事上出てくると、苦しい思いの連続になるのではないでしょうか。会社の利益に関わることです。会社の方針に従ってもらわないと困るし、自発的に仕事をしてもらわないと困るし、お客様との関係もあるし・・・。
「なんでこの人は○○なんだろう?」、そんな疑問に応えてくれるのが、「人格適応論」です。人をよ~くみていくと、短所と長所の両方を持ち合わせていることに気づくでしょう。人から嫌われるものの仕事への情熱はすさまじく、完璧に成果を出す人。書類の提出期限は守らないけれど、とくにかく明るくエネルギッシュに仕事を進める人。あまり話さず何を考えているのかわからないけれど、その人なりのペースで仕事ができると独創的な仕事をする人。。。
こうした人の特色や違いを細かいところまで知ることができるのが「人格適応論」です。人に対する接し方を具体的に知ることで、いまより20倍人間理解を深めることができるでしょう。「そんなバカなことがあるか」「こんなのワケがわからない」。私も最初はそうでした。それが毎日少しずつでも意識するとみえてくるのです。「この人の考えは絶対に尊重しよう」「この人と関わるときは、おどけよう」・・・そんな風に人によって対応の仕方を変えることができると、人間観関係が楽に、楽しくなります。

 

◆適応タイプとその名称について

人格適応論では、6つの適応タイプを設定します。

想像型 行動型 信念型 思考型 反応型 感情型

だいたいの人は、適応タイプを複数持っている場合があります。たとえば、この文章を書いている私の場合、平常時でも信念型と思考型で、ストレス時になると反応型になります。

また、適応タイプの名称には歴史があります。もともとの呼び名を考えたのはポール・ウェアという精神科医でした。ウェアの呼び名はパーソナリティ障害の名前でした。つぎにヴァン・ジョインズらの心理学者が新しい名称を考え、日本に紹介されるようになりました。

このサイトでは上記の名称を使いますが、参考のために、以下にまとめておきます。

人格適応論 ポール・ウェア ヴァン・ジョインズ

 

◆適応タイプの特色

人格適応論の概要

      

 

◆「心のブレーキ」と「頭のアクセル」   

こんな表、みせられても何がなんだかさっぱりわからない、という方もいらっしゃるでしょう。当然です。これからゆっくりみていきます。何かわからないことがあれば、どうぞお気軽にお問合わせください。

①心のブレーキ

いま、自動車を運転しようとしています。ブレーキを踏んでいる状態でアクセルを踏んでも前に進まないですよね。仮に進んだとしても進みにくいし、余計な燃料を使います。

心の働きもまったく一緒です。心のブレーキをかけていれば、前に進みにくいし、進むにしても無駄にエネルギーを消耗するだけです。

②「頭のアクセル」

自動車でいうと、サイドブレーキをかけて前に進もうとすると、かなり余分にアクセルを踏んで燃料を使います。

人も同じ。「心のブレーキ」が強ければ、余計にアクセルを踏んで無駄なエネルギーを使います。

そのアクセルには特色があります。親や教師がよく使うような命令調のメッセージです。このアクセルは、ことばだけではなく、態度や表情や声の調子にもよく現われます。

  強くあれ 完全であれ 努力せよ 他人を喜ばせろ 急げ

③「心のブレーキ」「頭のアクセル」からみた適応タイプの特色

「心のブレーキ」や「頭のアクセル」がわかると、適応タイプの特色や苦手なところがみえやすいでしょう。職場でのシーンから以下考えます。

想像型。「強くあれ」という「頭のアクセル」は有能であれ、ということと同時に、感情から距離をとる、という意味をもっています。これに「心のブレーキ」の「欲しがるな」「するな」が加わると「君はどうしたいんだ」と気持ちや欲求を聞かれると非常に困ることになるわけです。加えて「関わるな」、人と関わって仕事をすれば当然ストレスです。また「見えるな」、人との関わりのなかで目立ち始めるとストレスですので、リーダーになるとなおさら困るわけです。それだけに、具体的で明確にやることを伝えて本人のペースを大事にすると、丁寧な仕事をしてくれるわけです。人とあまり関わりをもたない分、内面の世界がとても豊かで、独創的な仕事をしてもらうと、周囲の人も驚くことでしょう。
行動型。「強くあれ」と「他人を喜ばせろ」、ニヒルな印象になかにときどき見せる笑顔は実に魅力的。人を扱うのが上手でリーダーシップを発揮する場合が多く、会社では社長になりやすいタイプです。「心のブレーキ」からみると、「信頼するな」に「欲しがるな」。ここでいう「欲しがるな」は想像型の「欲しがるな」とは意味が違います。目の前にある欲しいものはすぐに手に入れます。したがって、お金儲けは得意ですし、結果も速攻だそうとします。同時に人が一番欲しいもの、「愛情」は手に入れないという意味です。「信頼するな」もありますから人と信頼関係を結ぶより、人を操って欲しいものを手に入れようとするわけです。一番欲しい「愛情」は手に入れないわけですから、孤独感がつきまといます。「属するな」、魅力的ですから人は寄って来るものの、人がつくったグループのなかには自分は属さないわけです。かつて、郵政民営化を旗印に首相をつとめた小泉純一郎氏、彼の志に共鳴した若手議員は「小泉チルドレン」となったものの、「小泉チルドレン」のなかには小泉氏が入っていないと考えるとわかりやすいでしょう。

信念型。「強くあれ」と「完全であれ」、有能で完璧な仕事を目指します。何をするにしても慎重に考え、自分の仕事の誇りと情熱と信念を持ちます。そんな熱い信念型の人は会社では管理職として活躍しやすいわけです。その信念と情熱の正体は何なのでしょうか。「心のブレーキ」でみると、「怖れを感じるな」、つまり不安感がとても強いために(「怖い」が「不安」に化けるのです)自分の信念にしがみつこうとするわけです。不安が強いために人に対しては「信頼するな」。その分、自分でよく考えて成果を出そうとします。どちらかというと、自分の信念を通そうとしますから、人から嫌われやすいのも特徴です。その分、信念型は人から信頼されると思うと、とても安心します。彼らと付き合う場合、絶対に彼らの考えを否定せずにまず聞く、自分の意見をいうときには彼らの考えを十分聞いて受け止めて安心感を確認した上でいうと、対等な関係で話し合うことができます。
思考型。「完全であれ」、とにかく何をするにも完璧主義です。そのために情報を収集し、効率性を考え、時間を管理しようとします。とても責任感が強くてきっちり仕事をしようとし、人に対しても良心的に接しようとします。
その反面、自分にちょっとした欠点があると自分を責めたり、ちょっとした他人のミスも気になります。また、痛いところを突かれるような質問をされると、自分が完全でいられなくなるため、ごまかしたりすることもあります。「心のブレーキ」は「くつろぐな」、「健康であるな」、「成功を感じるな」、つまり休みたいときは病気になれ、一生働き続けろという心のメッセージがどこかにあります。とても疲れやすいですし、もしかしたら疲れを感じるとつらくなるから、疲れを感じないようにしているのかもしれません。
反応型。「努力せよ」、とにかく一生懸命、いつもがんばってエネルギッシュに仕事をします。そんなエネルギーは明るさにも通じるところがありますので、オフィスのなかで一人いれば職場全体が明るくなるような雰囲気を醸し出します。主な「心のブレーキ」は「嫌を感じるな」。ちょっと意外かもしれませんが、嫌を感じにくければ、嫌な仕事をするのが難しくなります(嫌は感じると消化されますので、嫌を感じると嫌な仕事をしやすくなるわけです)。好きな仕事はとにかくとことんエネルギッシュにするけれども、嫌なことはいつも後回し。営業職だったりすると、仕事はジャンジャンとってくるけど、社内文書は後回し、「でも」「だって」といいながら仕事を引き延ばす。そんな彼らはユーモアが大好き。こちらもおどけて、一緒にふざけたりすると、結構嫌なことでもやってくれる人たちでもあります。
感情型。「他人を喜ばせろ」、人に喜んでもらうことにとにかくエネルギーを使います。魅力的で、チャーミングな印象、とくにかく人づきあいが好きでグループではアイドル的な存在。いつも笑顔をふりまいて社交上手です。「心のブレーキ」は「子どもであるな(ガマンしろ)」。人に喜んでもらうためには、自分の気持ちは置いておいて、ひたすらガマンです。結構キツイんです。そして「考えるな」に「成長するな」。いままで、かわいがられてきた分、自分で考えることは苦手ですし、大人が普通にできることでも苦手だったりしますから、本来もっている仕事での能力が活かしきれていないことが多いです。それでも、「あなたがいてくれるといつも助かる」と、やった成果ではなく、存在そのものを認めてあげると安心して人と関わりながら仕事をしてくれます。

 

◆3つのドア ①入口のドア ②深まるドア ③地雷のドア

いかがでしょうか。少し人が得意なことと苦手なことがご理解いただけたでしょうか。

もう少し踏み込んで、会話や接し方のポイントをお話いたします。

人が思考・行動・感情を使うとき、適応タイプに応じて使いやすいドアと使いにくい「心の扉」があります。

①入口のドア:一番入りやすいドア

②深まるドア:入口のドアから入って関わりができると、より人間関係が深まるドア

③地雷のドア:一番苦手なドア、触れないのが無難

会社でいうと、一番社長になりやすい適応タイプは行動型です。①入口のドアは行動ですから決断力が高く、短時間で成果を出そうとします。③地雷のドアは思考ですから、何か問題が起こったとしても、あまり深く考えず、つぎの行動に出て成果を出そうとします。

それに対して、一番中間管理職として活躍しやすい適応タイプは信念型です。①入口のドアは思考ですからじっくり考え、②深まるドアは感情ですので気持ちを十分に蓄えて、③地雷のドアは行動ですから実行に出るわけです。

また、仮にあなたに部下がいたとします。提案書類を作成するように指示をしましたが、一向に提出してきません。「なんで君は提案書類を作成して提出しないのか」といわれば、当然部下は反感を感じるでしょう。その部下が信念型や思考型であれば「提出しない」と行動のことを聞かれれば③地雷のドアが行動ですから、抵抗を示すでしょう。こんなとき、「先日提案書類を作成したのだが、まだ提出していないところをみると何か考えがあるのか」と聞けば、①入口のドアは思考ですから、何か考えを述べてコミュニケーションもはかりやすくなります。信念型であれば「思うところがあって・・・」と自分の考えを述べるかもしれませんし、思考型であれば「まだ提案書類を作成するには、情報収集が必要です」と事実確認が必要であることを述べるかもしれません。部下が感情型であれば「提案書類の作成が遅れるなんて、何か最近気になることがあるのかな?」と①入口のドアが感情ですから、気持ちの面から触れていくとより深い信頼関係を築くチャンスを得るかもしれません。

◆接し方

今後はもう少し細かい接し方の話になります。それぞれの適応タイプに合わせた接し方の一例で、人に何か自分の要求を伝えるときのコミュニケーションのコツです。

☆指示的な接し方:「~してください」(想像型・行動型)

☆要請的な接し方:「~していただけませんか」「~していただけないでしょうか」(信念型・思考型)

☆情緒的な接し方:おどけた雰囲気で(反応型)

☆養育的な接し方:やさしく(感情型)

想像型は具体的で明確に指示されないと自分が何をしたいのかがわかりません。したがって、周囲の人は「~してください」と指示することが必要です。行動型は周りくどい表現が嫌いです。率直に「~してください」といわれた方が話が簡単なのです。

それに対して、信念型や思考型は自分の考えに固執します。「~してください」といわれれば、命令されたような気分になります。そこで「~していただけますか」と要請的な依頼をします。

反応型は何といっても楽しさ、感情型は気持ちを大切にされることが大切なのです。

◆タイプ別見分け方(参考例)  

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まずは最後までお読みいただいたこと、深く感謝いたします。「つまらない」「わからない」と思われても、当然です。それでも、最後までお読みいただいただけでも十分にうれしく思います。また、「面白そう」とご興味をもっていただけると、うれしく思います。

どうぞ内容については、ご気軽にご質問・お問合わせください。ご連絡、心よりお待ちしております。

 

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